えほんひらけば

手にとった絵本を自分なりに紹介していきます。

2019-01-01から1年間の記事一覧

おそろしいよる

『おそろしいよる』 (きむらゆういち・作 殿内真帆・絵)すずき出版 2019.9 「あらしのよるに」が有名な作家の新刊本。 どんな感じかとめくってみると、楽しい、楽しい。 色遣いも独特で、主人公のコブタの表情や部屋の様子なども、お話によくマッチしている…

月火水木金銀土日 銀曜日になにしよう?

『月火水木金銀土日 銀曜日になにしよう? 』(増田ミリ・作 平澤一平・絵) 幻冬舎2012.12 『はやくはやくっていわないで』のコンビによる一冊。 もはや、題名で圧倒される。 最初のページに「銀曜日には大きなクリームソーダ」と一行だけ。見開きで、巨大なク…

はやくはやくっていわないで

『はやくはやくっていわないで』 (益田ミリ・作 平澤一平・絵) ミシマ社2010.11 最初、低学年用にいいかなと思って読み始めたら、迷いだした。 まだ教員意識があるのかな、と正直に思う。 「はやくはやくっていいわないで」 「どうしてできないのってきかな…

はやくおきてよ サンタさん

『はやくおきてよ サンタさん』 (マーカス・フィスター作 那須田淳・訳) 講談社 1998.10 今月はクリスマス近くに、低学年への読み聞かせが予定されているので、何か一つ時季的な絵本を選ぼうと考えていた。 少し探してみて、これが面白いと思った。 愛すべき…

ふつうに学校にいく ふつうの日

『ふつうに学校にいく ふつうの日』 (コリン・マクノートン・文 きたむらさとし・絵 柴田元幸・訳) 小峰書店2005.5 昨日、某学校で五年生を対象に読み聞かせをしたときに、『おおにしせんせい』とともに取り上げた一冊。 外国(おそらくイギリス)の学校が取り…

このほんよんでくれ!

『このほんよんでくれ!』 (ベネディクト・カルボネリ作 ミカエル・ドゥリュリュー絵 ほむらひろし・訳) クレヨンハウス 2019.7 9月に別ブログに、この本との出会いを書いた。 実に、読み聞かせがいのある一冊だと思う。 登場人物に個性があり、また展開の明…

まいにちがプレゼント

『まいにちがプレゼント』 (いもとようこ) 金の星社2018.9 表紙カバーの裏に、こう書かれてある。 「present」プレゼント ってきくと おくりものを おもいうかべるでしょう? でも プレゼントには べつの いみも あるのです。 表紙にある小動物(ハリネズミ )…

そのつもり

『そのつもり』荒井良二・作(講談社) 1997.12 この絵本は、ある実践者のお薦め本だった。 「そのつ森」という名前の森の中で、毎日話し合っている動物たち。 自分たちのアイデアを発表して 「いいねえ、それ」と言い合い、そのつもりになる。 ある日、リス…

とんでいった ふうせんは

『とんでいった ふうせんは』 ジェシー・オリベロス・文 ダナ・ウェルコッテ・絵 落合恵子・訳 (絵本塾出版)2019.9 「ふうせん」に喩えられているのは、楽しく大切な「思い出」。 登場するのは、ぼくと家族。家族のなかには、ぼくを可愛がってくれるおじい…

へいわとせんそう

『へいわとせんそう』 たにかわしゅんたろう・ぶん Noritake・え (ブロンズ新社)2019.3 夏に研修をしたとき、ある方から紹介された一冊である。 見開きで、左ページに「へいわの〇〇」、右ページに「せんそうの〇〇」とだけ記されて、そこに絵が描かれてい…

おおにしせんせい

『おおにしせんせい』(長谷川義史) 講談社2019.9 あまり数多く読んでいるわけではないけれど、なぜか「長谷川ワールド」と呼びたくなるような作品だ。 舞台は、おそらく昭和期の小学校。 新しく担任になった「おおにしせんせい」は、出会いの一日いっぱい使…

オレ、カエル やめるや

『オレ、カエル やめるや』 (デヴ・ぺティ・文 マイク・ボルト・絵 小林賢太郎・訳) マイクロマガジン社2017.11 「あのさ、おとうさん。オレ、ネコになることにするや。」 生意気なカエルの子がそんなふうに言うことから始まる、ユーモア絵本。 このブログで…

葉っぱのフレディ

『葉っぱのフレディ』(レオ・バスカーリア作 みらいなな訳 童話屋)1998.10 あまりに有名な絵本。 発刊された頃に一度、そして数年前に一度、 六年生に読み聞かせたことがある。 先日、隣市で開かれたある朗読会で取り上げられていて 他人の声で久々に聴い…

なきすぎてはいけない

『なきすぎてはいけない』(内田麟太郎・作 たかすかずみ・絵 岩崎書店)2009.5 この絵本との出会いは印象が強烈だった。 ある研修会で朗読された一冊。 こんなふうに読みたいと、久々に感じた。 その頃はまだ孫はいなかったが、それでも読んでいてなんとな…

うえきばちです

『うえきばちです』(川端 誠 BL出版)2007.9 わずか20冊程度しかない「絵本」蔵書だが この絵本だけは2冊所有している。 気に入って買い求め読み聞かせをしていたら 同僚に貸してくれと頼まれ、そのままになってしまった。 その経緯を失念し、もう一冊手…

にんげんごみばこ

『にんげんごみばこ』(のぶみ えほんの社)2008.4 最後の勤務校で一年生に読み聞かせをしたことを覚えている。 「いらないひと」「きらいなひと」をすてちゃおうとする心に 「でも、ほんとうにすててもいいの?」と問いかける人がいる。 低学年の子が「すき…

てをみてごらん

『てをみてごらん』(中村牧江 さく 林健造 え)2007.5 手の動き、役割などについてやさしく語りかけてくる。 紙工作のように作った手の形が描かれているのが とても印象的な一冊。 手をまじまじと見ることは、時々あるけれど こんなに表情が作れるんだなと改…

どんなかんじかな

『どんなかんじかな』(中山千夏 ぶん 和田誠 え)2005.7 和田誠の描く表紙が目に入って、思わず手に取った。 表紙のひらがなの題名だけ見たら 「かんじ」が「感じ」か「漢字」か。 これは「感じ」の方。 「ともだちの まりちゃんは めがみえない。 それで か…

いっしょだよ

『いっしょだよ』(小寺卓矢 アリス館)2012.5 この一冊は前掲の『森のいのち』より さらに「写真絵本」というにふさわしい。 森に住む生き物たちは、ひとりでそこにいるわけでなく みんな誰かといっしょに生きている。 さまざまな寄り添い方をしながら 必ず…

森のいのち

『森のいのち』(小寺卓矢 アリス館) 2006.5 絵本ではなく写真集。 しかし、添えられたことばは、ぜんぶひらがなであり 平易でありながら、深い。 「いくつもの いのちが もりという おおきな いのちを つないでゆく。」 阿寒や東大雪の森で撮られた、様々…

ボタンちゃん

『ボタンちゃん』 (小川洋子作・岡田千晶絵) PHP研究所 2015.4 小説家が絵本の文章を手がけている作品も目立つ。 芥川賞作家によるこの一冊はなんとも素敵だ。 数年前に小学校低学年の課題図書にもなっている。 糸がとれてしまい転がって「探検」の旅に出か…

マジシャンミロのふしぎなぼうし

『マジシャン ミロの ふしぎなぼうし』 (ジョン・エイジー作・石崎洋司絵) 講談社2009.7 下手なマジシャンを助けてくれるのは、なんとクマ。 現実社会では、クマとの共生は非常に難しいが、お話のなかでは互いにいたわり合うことさえできる。 原題は「MILO’S…

とんでもない

『とんでもない』 (鈴木のりたけ) アリス館2016.2 誰しも自分にないものはよく見える。 しかし、うらやましいと言われた相手はそう思っていないことが多い。 「あったらあったでいろいろたいへん」は身に沁みる一節だ。 「どこにでもいるふつうのこ」のぼく…