のら猫のかみさま
五編の中で「読み聞かせたいなあ」と感じたのは、まずこの作品だった。
絵本を注文して、声に出して読んでみたら、あああと思った。
犬が亡くなった後のシーンで、思わず涙腺が緩んでくる。
これはちょっと読み込まないと、人前に出せないな…
と思っていたところ、先日の研修会で「おすすめ本」として選んだ方がいらっしゃった。
その段階はクリアしたようで、ご自分なりの表現で読みきっていた。
他の方の読みを聞いたことで、また一つ客観的になれた気がした。
年老いた飼い犬の餌を、盗むように漁り続けたのら猫が、産んだ子猫と一緒にそれを続け、そしてその犬がなくなる時を迎える…
「愛」というシンプルな語しか思い浮かばない。
これは年中児から上ならば誰にでも読んであげたい、読んでほしい物語だ。
海の見える丘 ~あなたの未来へ贈る5つの物語
気まぐれの再スタートは、分類すれば「絵本」ではない。
本の帯に書かれているのは「くすのきしげのりがはじめて紡ぐ大人のための短編集」。
巻頭、あとがきには、この一冊のテーマが記されている。
「人は、自らの人生を俯瞰するとき、そこに何を見るのでしょうか」
カットもイラストもないこの本は、まるで「絵」を待っているようにも思える。
そういう思いを引き起こさせるねらいも当然あるかのように、一つ一つの作品が絵本として発刊されている。
初見で気に入った2編については絵本も購入した。
意識としては「読み聞かせたい」という思いの強い作品だ。
この後、紹介していきたい。
ひゅるりとかぜがふくおかで
「げつようび」から「にちようび」まで、いろいろな生き物が登場する。
それらが、捕食者となりそれぞれをつかまえ、食する世界を、たんたんと描く。
いわゆる食物連鎖ということになろうが、その展開を、全編七五調のリズムで文章化しているところが個性的である。
「にちようび」の次は「10ねんたった げつようび」で締めくくられる。
しかし、この中ではやはり人間だけが異色と言えると今さらながら思う。
死んで土に還るか…。
【小学校低学年から高学年までがおススメかな】
はやくおきてよ サンタさん
今月はクリスマス近くに、低学年への読み聞かせが予定されているので、何か一つ時季的な絵本を選ぼうと考えていた。
少し探してみて、これが面白いと思った。
愛すべきキャラクターとしてサンタが描かれる。
つまり寝坊しているし、くつしたはどこに置いたか忘れるし、ソリはサビているし、トナカイに食べさせるのも遅れるし…。
さらには雪がどんどん降ってきて大変になって…。
と展開していくのだが、実は…。
今の子どもたちがサンタクロースの存在に対して、どんな思いを抱いているのかさだかではない。
しかし、このお話のサンタに対しては、笑顔を浮かべて共感してくれるのではないかと思う。
【年長児から小学校低学年でしょう】