えほんひらけば

手にとった絵本を自分なりに紹介していきます。

オレ、カエル やめるや

 

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『オレ、カエル やめるや』 (デヴ・ぺティ・文 マイク・ボルト・絵 小林賢太郎・訳) マイクロマガジン社2017.11

 

「あのさ、おとうさん。オレ、ネコになることにするや。」

 

生意気なカエルの子がそんなふうに言うことから始まる、ユーモア絵本。

 

このブログで最初に取り上げた『とんでもない』と似たテーマが扱われている。

アメリカの作家、カナダのイラストレーターが作った絵本は、日本のことわざ「蛙の子は蛙」とは違った意味で、いわゆる存在を肯定する物語だ。

 

オオカミの登場がクライマックスと言えそうだが、その絡み方も面白い。

 

読み聞かせに適していると思われるので、ぜひ演じてみたい。

 

【小学校低学年から中学年向きでしょう】

葉っぱのフレディ

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『葉っぱのフレディ』(レオ・バスカーリア作 みらいなな訳 童話屋)1998.10

 

あまりに有名な絵本。

発刊された頃に一度、そして数年前に一度、

六年生に読み聞かせたことがある。

 

先日、隣市で開かれたある朗読会で取り上げられていて

他人の声で久々に聴いた。

森繁久彌のCD版は持っている)

 

改めて、自前の絵本を開いてみたら

読むために、区切りの線やメモなどずいぶん多く書き込んであった。

 

今の時期にふさわしいことは確かである。

そして、年齢を増せば増しただけ、深く読み込める気がする。

(表現が巧くなるかどうかは、また別だが)

 

先日、読んだ方はラストの一行前をずいぶん間をとられていた。

 

「また 春がめぐってきました。」

 

たしかに、ひと季節経つくらいに、間が必要なのかもしれない。

 

【小学校高学年から大人まで】

 

なきすぎてはいけない

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『なきすぎてはいけない』(内田麟太郎・作 たかすかずみ・絵 岩崎書店)2009.5


この絵本との出会いは印象が強烈だった。

ある研修会で朗読された一冊。

こんなふうに読みたいと、久々に感じた。

 

その頃はまだ孫はいなかったが、それでも読んでいてなんとなくうるっときた。

 

今、孫との時を味わいつくしている自分が

この文章を声にすればきっと涙が出る。

従って、読み聞かせはおそらくしない絵本になるだろう。

 

亡くなってしまった祖父から、孫へあてたメッセージ。

「いのちのしくみ」「いのちのバトン」の意味が

心の中に流れ込んでいくような文章、そして淡くやさしいタッチの絵。

 

ずっと大切にしたい絵本の一つだ。

 

【小学校中学年から、そして高齢者まで】

 

 

うえきばちです

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『うえきばちです』(川端 誠 BL出版)2007.9

 

わずか20冊程度しかない「絵本」蔵書だが

この絵本だけは2冊所有している。

 

気に入って買い求め読み聞かせをしていたら

同僚に貸してくれと頼まれ、そのままになってしまった。

 

その経緯を失念し、もう一冊手に入れたのだった。

その後しばらくして「忘れてて…」と前の一冊が返ってきた。

 

とても人気のある絵本だろう。

 

ダジャレを特徴あるタッチの画で展開させ、読者を引き込んでいく。

繰り返し読みたくなる面白さがある。

 

読み聞かせるときに、読み手の個性と工夫が発揮できる魅力ある本だ。

 

【年中児から、大人まで楽しめる】

にんげんごみばこ

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『にんげんごみばこ』(のぶみ えほんの社)2008.4

最後の勤務校で一年生に読み聞かせをしたことを覚えている。

 

 

「いらないひと」「きらいなひと」をすてちゃおうとする心に

 「でも、ほんとうにすててもいいの?」と問いかける人がいる。

 

 低学年の子が「すき・きらい」について、一歩踏み出して考えてくれそうな本だ。

 

読み方によっては、そんな社会になっていないか考えさせられる。

 

 

ああ、読み聞かせした時は出だしの

「にんげんごみばこにすてちゃおう」の箇所で

 

特別支援のクラスのKくんが泣きそうな表情を見せて

 「もう聞きたくない」という顔をしたことを思い出す。

 

 

【年長児から小学校低学年がいいでしょう】

てをみてごらん

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『てをみてごらん』(中村牧江 さく  林健造 え)2007.5


手の動き、役割などについてやさしく語りかけてくる。

 

紙工作のように作った手の形が描かれているのが

とても印象的な一冊。

 

手をまじまじと見ることは、時々あるけれど

 

こんなに表情が作れるんだなと改めて思う。

 

手に触れる様々な命や季節をうけとめる「ひと」のあたたかさまで伝わってくる気がする。

 

 

【4~5歳から、と書かれているけれど、もっと小さい子もOK】

どんなかんじかな

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『どんなかんじかな』(中山千夏 ぶん  和田誠 え)2005.7

和田誠の描く表紙が目に入って、思わず手に取った。

 

表紙のひらがなの題名だけ見たら

「かんじ」が「感じ」か「漢字」か。

 

これは「感じ」の方。

 

「ともだちの まりちゃんは めがみえない。

 それで かんがえたんだ。

 みえないって どんなかんじかなあって。」

 

と少し唐突に始まるこの話は

主人公の「ひろくん」が友だちの身になってみて

あれこれと考えをめぐらす。

おしまいの方では、友だちのきみちゃんが

同じように「どんなかんじかな」と考えて…

 

ああそうかと、しっくりうなずいてしまう結びが清々しい。

 

【年中児から小学校中学年あたりまでがぴったりだけれど、高学年以上だと読みが深くなるので、それも面白い】