観察映画「選挙」を観る

もちろんこの本を読んだことがきっかけである。本編2時間ちょうどのドキュメンタリーを、ナレーションもBGMもなしで視聴するということだけでも貴重な体験だった。TVでもよくドキュメントを観るが、ふだんいかに自分がそうした情報に呑みこまれているか考えざるを得ない。感想は常に誘導されている。
映像でも連呼される「小泉自民党」の時代、いわゆる「落下傘候補」として市議会補欠選挙に出馬した男性と、その周囲を描く。「どぶ板選挙」の実態がよくわかるし、同時に政党が抱える縦の構図、そしてその中で蠢くドロドロした感情も随所に露出する。日本人らしいと感じてしまう自分の中にある毒性にも気づく。
作品が撮られてから20年が過ぎた。今年も選挙は続く。直接関わることはこの先ないだろうが、あれから何が変わり何が変わらないか、見極める目の参考にはなる。国際的話題になったこの映画の反響は、我が国では極めて限定的のようだ。その事実が、なかなか投票行動が向上しない現状に結びついていると言える。