今週、読み聞かせのために新しく選書した絵本の三冊目。小学生上学年を対象に語る。
写真絵本は自分でもいくつか持っていて、読み聞かせをした猫の本などもある。この本を見た時は、こういう目のつけどころがあったのかと感心した。構図は正面中心で限定的である。それは「文」が入ることを前提としたものだろうか。職人中の職人である谷川俊太郎が、饒舌にならず写真一枚一枚に寄り添っている。
日本中いや世界中にある「こや」。その目的、形状、立地等々は様々であっても共通していることはあるだろう。それはもしかしたら、三枚目に記された「ぼくをたててくれたひとは えらくない」という一節に集約されるかもしれない。自前で在り合わせの材料で、多くが手仕事で建てられた「こや」は無数にある。
それらは、いわば貧しさの象徴、しかしまた、たくましさの具現化。自然の脅威に抗い続け傷つき果てても、きっと「そこ」に人がいれば、また姿を現わすと言ってもよくないか。となれば、「こやたち」の「ひとりごと」とは、人間と自然をつなぐ応援歌のような、世間話のような、そんなふうに聞こえてくる。